CD『Inspiration!』の感想 <その1>
以前、大野本人に訊ねたのだが、多彩なギタープレイの宮之上氏の伴奏は
歌い難くないのかと。すると「宮之上さんが私にとってのスタートだから。」
と笑顔で答えたのだった。「めぐみおおの」只者では無いと思った瞬間で有る。
1.Speak low.
そんな宮之上氏の変則伴奏がいきなり炸裂する中、まるで、これも私の一部よ
とばかりに、自然に歌いこなす事が出来る秘密がこれなのだ。
2.Social call.
おおのの元気な呼び掛けに、思わず「イェ〜イ!」と叫んでしまった。
3.The nearness of you.
時計の針が深夜を指し、酒が廻り、程良く喉が枯れたおおののロングトーン
変な気負いが無くて実に気持ちがいい。
エンディングの仕掛け(3拍子にリズムチェンジ)が眠りに誘われる。
4.Music in the air.
普通スキャット系は「ダバダ」が濁っているのだが、
おおのは楽しく透明感のある空気を作りだす事が出来るのだ。
5.Wave.
夜の海をイメージ したそうで、宮之上氏のイントロ、間奏、エンディング
が2コードで海の満ち引きの情景を上手く表現している。
その波に漂うおおのの歌は、スケールの大きさを感じさせる。
CD『Inspiration』の感想 <その2>
6.Our love is here to stay.
シズル付のシンバルレガートに、stay感がでている。
爽やかな朝日のにおいを運ぶ、おおのの歌声に
今日のやる気が出る一曲だ。
7.Inspiration.
おおのの挑戦「楽器のように歌いたい…」
宮之上氏のギターは、まるで人が歌っているかのようなプレイである。
おおののイメージする楽器が何なのか、想像するのもまた楽し。
8.I didn't know time it was.
アルバム中、一番おおのが歌いやすいタイプの曲なのであろう。
チャレンジ曲が多いなか、肩の力が抜け、
歌が、真ん中真ん中へと入って来るのである。
9.Honeysuckle rose.
ちょっと遅めのテンポ。ブルージーさを出す為にルーズに歌われがちだが、
おおのの丁寧なリズムのジャストさは天性のもの。
10年20年後にリクエストしてみたい曲ナンバー1である。
10.Taking a chance on love.
スイング感が、1・2・3・4だけでなく
大きなスパン(小節感)でゆったりと歌えるのも
おおのの個性の一つである。
他曲より、ハリのある声質にも注目。
CD『Inspiration』の感想 <その3>
11.They can't take that away from me.
午後のカフェテラスで、思い出話しをしながら、お茶をしているおおの。
会話の相手? 勿論、宮之上氏のギターである。
楽しそうに…
12.Little girl blue.
窓辺でガラスを伝う雨粒を見つめるおおの。
バラードのゆったりしたリズムを、ドラムのブラシを小刻みに取る事によって
おおのの歌の、画像イメージを膨らませくれる。
泣きたい時にどうぞ…
13.You took advantage of me.
珍しく後ろに引っ張りぎみの、おおののヴォーカルが、
「あなたに、つかまってしまったの。」と語りかける。
ベースソロも満点の歌心である。
14.You're getting to be a habit with
me.
アコースティックなギターや音響(リバーブ)のせいだけで無く
おおのの生の歌声が直接心に響く小品。
もっと聴きたいと思わせる所も、この曲の良さであろう。
15.Minor catastrophe.
このアルバムの一つのテーマでもあるスキャットナンバー。
どこか懐かしい、それでいてもの悲しい感じを受けるのは
おおのが人の痛みを知っている、優しい心の持ち主だからであろう。
そして、きっとそれを宮之上氏に認められたのだろう。
コーラスを歌い出してしまった、プロデューサーでもある宮之上氏の、
おおのへの応援歌にも聴こえる。
以上、匿名希望 様
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